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Customer Columnお客様コラム

第17回 光熱費を考える③(冷房)

我が家の冷房費は、扇風機分まで含めて約2千円で済んでいました。 これはエアコンをあまり使わず、使う場合も30℃設定で使うからだと思います。 

一応冷房負荷について簡単に考えてみると、アパートから戸建への住み替えでは増えるケースが多そうです。 戸建住宅は集合住宅よりも日射を受ける面と、日射影響の大きな面の面積が増えるのが普通だからです。

とは言え、今後も冷房は極力使わないつもりですし、設定温度も高いので、そう極端に増える事は無い様に思いました。

と言うことで、冷房費について考える事は無かったのですが、夏の暮らし方には拘りもありました。冷房費にも無関係と言う訳でも無ければ、エヌテックさんに依頼した理由にも係わる事なので、続けてこの辺の事を書きたいと思います。

省エネ住宅とは、魔法瓶の様に室温を保ちやすい様にした家、という風に説明される事があります。家を魔法瓶に例えるのは色々突っ込みどころがあるのですが、外部影響を断つ事で内部の温度を保ちやすくしていると言う点ではその通りです。この魔法瓶の蓋を開けっ放しにして使うような暮らし方は、省エネ住宅では邪道と言う事は理解しています。

しかし僕も妻も、家を締め切って冷房に頼る様な暮らしはしたくありません。僕ら夫婦には、健康の面でも、光熱費の面でも、子供の為にも、その様な暮らしが良いとは思えないからです。

簡単に我が家の夏の暮らしを書いてみますが、我が家では1年の半分位は窓を開けて過ごしています。気温が上がり暖房が不要になると、家の中は必ず熱余りの状況になります。家の中に人間や家電などの熱を発生する物があるからですが、当面は外気を室内に入れる事で涼しく過ごせます。

ここで面白いのが、春先に急に室温が上がると室温26℃位で暑いと感じるのに、夏には30℃で暑いと感じなくなる事です。これは春先と夏とでは体温調節機能の働きに差があるからで、簡単に言えば慣れの問題だと思います。

この身体の慣れと言う点を考えると、単に快適な温湿度環境を作れば良いと言う物では無い様に思います。汗をかく機会が大幅に減る事で体温調節機能が鈍り、これまで快適と思えた環境を快適と感じなくなったり、体の不調に繋がると思うからです。
この点で侮れないのが風です。

風があると涼しいのは体感温度が下がるからで、室温が特に下がる訳ではありません。風は汗の蒸発を助けても、汗をかく事自体はあまり阻害しない様に思います。何れにしても、室温30℃が苦にならなくなると、エアコンを使う機会は激減すると思います。

とは言ってみても、真夏の日中は外気を入れる事だけでは暑さを凌ぐのが難しくなり、我が家でも冷房を使う様になります。

上の図は下松の8月の家の状況を描いた物ですが、8時頃には外気温が30℃を超え、屋根や外壁の表面温度もかなりの高温になります。

この状況を考えれば朝から冷房が必要の様に思えますが、実際は正午頃までは冷房を使う事はありません。これは、家の熱が室内まで伝わるのに時間が掛かる事と、気温が高くても風が涼しく感じられる事が多いからだと思います。

正午頃からは冷房をつけるのが普通ですが、日暮以降は冷房を切るのが普通です。これは部屋がアパートの東端で西日の影響をほぼ受けない事が大きいのだと思いますが、過去に西端の部屋に住んだ事が1度も無いので違いは良く分かりません。 

夜になると外気温が25℃まで下がるものの、それだけでは室温はなかなか下がりません。それだけ家自体が暑いのですが、風さえ入れば十分涼しく過ごせます。

以上の様な暮らし方で、夏のエアコンの使用時間は多い年でも300時間を超える事はなく、設定温度も30℃で暮らせています。また、暑さや冷房で体調を崩す事もあまり有りません。
この様な低コストでエコな暮らしが成り立つのは、それだけ外気の利用が出来ている(出来る環境でもある)と言う事であり、合わせて身体が暑さに順応しているからだと思います。

この様な自分の暮らしを考えてみると、僕にとっては、家自体が熱を持つ事を抑える事と、家の風通しが改善されれば十分で、家を魔法瓶の様にして冷房費を抑える事はそれ程重要とは思いません。

考え方、暮らし方は人それぞれですが、パッシブな暮らしを望むなら、パッシブな暮らしを考えて作られる家を考えるべきだと思います。 
幸い僕は、暮らしに合った家と言うものを建てる事が出来ました。エヌテックさんは正にその様な暮らしを考えて家を作る工務店だったからです。

さて結果の方ですが、1年目(H25)の冷房費は扇風機分まで含め1,575円(63kWh×25円/kWh)でした。この年の夏はイレギュラーな要素が沢山あった中での数字なので、この数値をどう評価して良いのか分かりません。
ですが、冷房の設定温度が30℃から32℃とより高い室温で暮らせましたし、夏の過ごし易さは期待以上だったと思います。

中でも僕が最も期待していた風通しは、第9回で触れた通りで、3階で周囲に障害物が無かった前のアパートよりも良いと思います。 
特に改善したのが寝室の夜の涼しさです。朝方には肌寒さを感じる程ですが、風が入る事で家が冷えるのが早いからかもしれません。

一方で2階は日射に曝されるので、どうしても家自体が熱を貯めてしまいます。窓を閉めたり風が無いと暑いのですが、前のアパートに比べれば随分ましです。

これと逆なのが1階LDKで、夜間窓を閉め切っていても正午頃まで涼しさが続き、留守なら昼間でも室温は上がりません。2階建てなら1階はどの様な家でも涼しいのが普通だそうですが、Ginger HouseのLDKの外壁には1日を通して殆ど陽が当たらない造りなので、より涼しい様に思います。
1階のLDKの外壁に陽が当たらないのは、東西に大きな屋根を持つ張り出し部があり、南側に大庇があるからです。

問題は日中の2階で、僕の体感でも暑いと感じます。
2階は構造上暑いと言う事は事前に認識してはいましたが、大屋根の仕様が通気工法+遮熱シート+フェノバボード90mmと言う事で幾らか安心もしていました。ただ、元々エアコンを付ける設計の所を、当面は就寝以外に2階を使う予定が無いので付けていないだけなので、暑いのは当たり前な所もあります。

何れ子供が成長すれば、2階にもエアコンが必要で冷房費は今より増える筈ですが、子供の成長に伴う増加分はアパートに暮らし続けていても同じ事で、当然見込んではいます。それよりも、涼しく過ごす為の工夫の余地がまだまだあるので、この夏はこれに取り組んでみたいと思います。

エヌテックの家のお客様に、注文〜完成までの様子や、住んでみての感想をお聞きしました。

エヌテックが実際に手がけた住宅をご紹介します。全棟長期優良住宅です。