安藤忠雄展|青春
第6,157回 設計の谷口です。
先日、大阪へ出張してまいりました。
SE構法の提供会社(株)エヌ・シー・エヌさんが主催で、野池政宏さんをお招きし、パッシブデザインに力を入れている工務店数社で集まり、勉強会が行われました。
野池さんは、私にとっての恩人のような方なので、お会いするといつも背筋がピンと伸びるのですが、いつもながらに業界内の様々な情報を野池さんのフィルターを通して的確にわかりやすい言葉で私達実務者に解説していただきました。
せっかく大阪まで行ったので、現在開催中の展覧会「安藤忠雄展|青春」へ足を運んでみました。
会場は大阪駅の北側、うめきた広場にオープンしたGRAND GREEN OSAKA にある「VS.」という建物です。

安藤建築らしいコンクリートとガラスの幾何学平面の建物ですが、コンクリート外壁にはワイヤーが張ってあり、徐々につた植物で覆われていくような仕掛けがありました。

展覧会ではこれまで手掛けた建築やこれからの計画案などが模型やスケッチを中心に展示してあり、多くの来場者で賑わっていました。

最初に驚いたのは、安藤さんの代表作「住吉の長屋」の模型がコンクリートで再現されていたことでした。


10分の1のスケールなので、重量も相当あるものと思われます…。
安藤忠雄ともなると模型もコンクリートなのかぁと驚きました。
もう25年以上前ですが、私が大学の建築学科に入学して初めて一人で旅行をしたのが大阪・京都でした。
福岡から伊丹空港に着き最初に訪れた建物が、安藤さんが設計した「光の教会」でした。

コンクリートの壁から十字に切られた光が室内にふりそそぐ空間は、当時の私にとって大変センセーショナルな体験だったことを鮮明に覚えています。
学生の時から人気建築家でしたので、友人と一緒に直島の安藤建築を巡ったことも良い思い出です。
展覧会のタイトルになっている「青春」というキーワードは、安藤さんの建築に対する情熱をとてもわかりやすく表現しているなぁと感じました。
私は建築業界に身を置く人間ですので、安藤建築の圧倒的な熱量をビシビシと感じましたが、きっと他の業界に携わっていらっしゃる方々にとっても、とても刺激的な展覧会なのではないかと思いました。
長く仕事を重ねていくと、ついつい「前もこうだったから今回も」みたいな状況が多々あるかと思いますが、安藤さんの建築を見ていると常に前を向いて挑戦していく姿勢に満ち溢れているので、まさに青春をいつの時代になっても謳歌している状況が、多くの方々を刺激しているのでしょう。
展覧会では、北海道にある「水の教会」も再現されています。

展覧会場に水を引いて、一年を通して移り変わる四季の映像まで準備するのも、青春パワーの成せる技なのだと思います。
この展覧会は、2025年7月21日まで開催中ですので大阪にお立ち寄りの際はぜひこちらにも足をお運びください。
会場の外、うめきた広場もとても気持ちの良い雰囲気でした。
