木視率
第6,208回 設計の谷口です。
いつも設計を行う際に様々な要素を検討するわけですが、木視率(もくしりつ)という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?
先日、同業者のとある方と話をしていた時に、その方が「建築家の○○さんや△△さんは木視率がバツグンなんだと思うんですよ~。」とおっしゃっていました。
木視率とは、読んで字の如くで、建物の空間にいる人から見える木材の割合のことを表現した言葉です。
例えば、こちら。

木材として目に見えているのは、杉やオークの床材や一部の柱や梁、窓枠、下駄箱、ダイニングテーブルと椅子などがあり、壁や天井は白いクロス、キッチンも面材は白、あとはレンジフードやキッチン天板のステンレスが目に入っているような空間です。
窓の向こうに見える雑木林やウッドフェンスも木材の一部として認識されるようにも思います。
続いてこちら。

最初の写真の空間よりも、天井の梁がより見えるようになり、またキッチンの面材も木材を使っています。窓には木製ブラインドもあるので、木視率が少し上がったように感じませんか?
さらにこちらはどうでしょう。

十字にクロスした梁がしっかりと木材として認識できます。また、水平の天井が勾配天井になりその面に木材(ラワン合板に着色)を貼っているので、より一段と木視率が上がったように感じます。
最後に、いつもお客様と打ち合わせをしているギャラリー檪の写真です。

水平の天井には、着色されたヒノキの板を貼り、造作キッチンや収納、建具の面材やテーブルも木材が使われているので、木視率もかなり高い数値に感じられます。
初めてお会いするお客様に、エヌテックのホームページのご感想をお聞きするのですが、「つくっている家の雰囲気がなんとなく素敵。」という声をよく頂戴いたします。
私は、その感覚の中の一部にきっとこの木視率が含まれているのではないかと常々思っています。
本日ご紹介した4枚の事例も、それぞれ見る人によって好みもきっと違うだろうなぁと思うわけですが、どれくらい木材が見えていると自分としては落ち着く印象を受けるのかであったり、木材もどんな見え方をしているのが自分の好みかという事に注目していただくと、より具体的にご自身が感じる空間の好き嫌いが見えてくるのではないでしょうか?
家づくりに際して、この木視率のこともぜひ気に留めてみていただければと思います。