NTECPASSIVE DESIGN

Staff Blogスタッフブログ

建築家・吉村順三の鞄持ち

2025.6.7

第6,185回 設計の谷口です。

今日は先日読んだ本のご紹介です。

「建築家・吉村順三の鞄持ち」 藤井章 著

私達住宅業界では言わずと知れた吉村順三。

建築家 藤井章が、師匠である吉村順三との思い出を綴った素敵な書籍でした。

1908年、東京の呉服屋の三男に生まれた吉村順三は12歳で絵画コンクールに入選。

14歳の時には、一般人を対象とした小住宅設計懸賞にも入選しています。

東京芸大に入学すると同時に、建築家アントニン・レーモンドのアトリエを訪ねて設計の仕事も始め、戦時中レーモンドがアメリカに帰国した際は、太平洋戦争が始まる直前までの15カ月は吉村順三もアメリカに滞在したそうです。

戦後は、日本国内はもちろんのこと、アメリカからも仕事の依頼がありいくつかの建築を残しています。

本の中では、藤井氏がアメリカに同行した際の吉村順三とのエピソードが描かれており、相手が誰であろうと自分の信念を貫く建築家としての使命感のようなものを強烈に感じました。

その姿勢は国内でも変わることはなく、有名なエピソードのひとつとしては、皇居の新宮殿の依頼でさえも途中で辞退するほどです。

時間を惜しんで、設計活動に注力する吉村順三の姿がこの本では印象的に描かれており、その姿勢に自然と感化されてしまいます。

実は現在、テレビの放送大学で建築家 堀部安嗣氏による「これからの住まいと建築」という講義が毎週放送されています。

その中で、現代の今こそ近代の建築家から学ぶことが多々あるという趣旨で、
フランク・ロイド・ライト
ル・コルビュジエ
アントニン・レーモンド
吉村順三
前川國男
ルイス・カーン
グンナール・アスプルンド
アルヴァ・アールト
の順番で各回45分ずつ、たっぷりと講義を視聴することができます。

以前のブログでご紹介した展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」や放送大学の講義の影響もあり、私自身の中でも近代の建築家ブームが再燃しており、今回ご紹介した書籍で吉村順三のことをさらに深く知ることができました。

吉村順三の建築の中でもっとも有名な軽井沢の山荘は、54歳の時に設計した建物であるという事実を知ると、47歳の自分自身もまだまだ全然可能性があるのではと、勝手に勇気づけられたりいたします。

過去の偉大な巨匠たちの足跡から学び、現代の私たちの家づくりに少しでも参考になることを探ることもとても大切な設計作法だと感じています。

Category /

Tags

Archive

私たちの最大のミッションは、「お客様に幸せになっていただくこと。」

エヌテックの家づくりへのりをお届け。気になる技術・仕様などをより深く掘り下げます。