おにクル
第6,231回 設計の谷口です。
先日大阪への出張があり、少し足を延ばして茨木市まで行ってきました。
その目的はこちらの建物を一度見てみたかったからです。

「おにクル」です。
おにクルって言われても??となりますよね。
私も最初、建築雑誌で見た時は何の建物?と思いました。
正解は、2023年11月26日にオープンした茨木市の文化・子育て複合施設です。
「おにクル」は、市内に住む当時6歳の男の子が命名。まちの様々なところで目にする鬼のキャラクター「いばらき童子」を見て、「怖い鬼さんも楽しそうで来たくなっちゃうところ」という意味を込めたそうです。(おにクルHPより)
文化・子育て複合施設ということで、プラネタリウムや図書館、大小様々なホールやこども支援センター、小さな子どもも自由に遊べる屋内広場や屋外広場もあります。
おにクルは、みんなの建築大賞2025でみごと大賞を受賞していて、地域の人々からどんな感じで利用されているのかがとても気になっていました。

見学当日は、入ってすぐ1階のオープンスペースで、わくわくパークというイベントが開催されていました。また、小さなお子様が遊んでいるので写真撮影不可でしたが、起伏のあるこども広場で入場制限がかかるほど走り回っている子ども達の活気も満ち溢れていて、ぐっと心を掴まれました。
上下階をつなぐエスカレーターは、円形の吹抜をまるで縦横無尽に貫いており、高揚感が自然と生まれます。
2階は絵本などがたくさんあるこども向けの図書スペースもあり、屋外テラスには「おはなしのいえ」という有機的なフォルムが不思議な特別感のあるこどもの居場所が印象的でした。

3階に行くと、さらに上の年代の子ども達が外の暑い環境から逃げてきたかのように寝っ転がり、大好きな漫画を思い思いに楽しんでいる様子も微笑ましかったです。

4階は大ホールがありますが、ホワイエも開放されていてそこも静かにくつろぐ人々のための居場所になっていました。

5階と6階は、静かに読書を楽しんだり勉強をしたりする人々のための図書館になっています。
この高さから茨木市郊外を眺めながら勉強にも励むことのできる特別なスペースがたくさんありました。

人口減少の進むこれからの時代、余裕のある空間でゆったりと過ごせる居場所がある茨木市をたいへんうらやましく感じました。
尋常ではない暑さが続いており、このおにクルはとても魅力的なクーリングシェルターとして機能しています。
市民に活用してもらうために、様々な実証実験にも積極的に取り組んでいて、見学当日はエントランスホールに「おにクルでも花火が楽しめます」との案内も。
まさに、みんなの建築大賞にふさわしい建築空間をほんの少しですが体験できました。