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岩国 錦帯橋 重要文化的景観に思う

第5,377回 設計の谷口です。

先日、大学時代の友人に会うため、彼の地元である岩国に行ってきました。

先月の台風の影響で、錦帯橋近くの河川敷駐車場は閉鎖されていましたが、錦帯橋には大きな影響もなく、学生の団体も見学に来たりしていました。

錦帯橋周辺は、国が指定する重要文化的景観として、昨年(令和3年)10月11日に指定されています。

と言っても、私の友人もその事実を知らなかったくらいで、一般市民にはまだまだ周知されていないようです。

重要文化的景観とは、「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のために欠くことのできないもの」と
文化財保護法で定められています。

令和4年3月15日現在で、全国に71件の選定が実施されていますが、残念ながら広島県ではまだ0件となっています。

似たようなものとして、重要伝統的建造物群保存地区というものがあります。

こちらは、「建造物」とあるように建物に対しての評価で、建物に手を加える場合などは文化的景観の枠組み以上に厳しい制限があったりもします。

重要伝統的建造物群保存地区は、令和3年8月2日現在で、全国に126地区の指定があり、広島県下では
呉市豊島御手洗竹原市竹原地区福山市鞆町廿日市市宮島町の4地区が選定されています。

実は、この中の1つ、廿日市市宮島町の報告事例を見てみると、以前エヌテックが携わらせていただいた建物が載っているんです!!

地域の歴史や文化を学び、改修する際にその想いを反映させていくという作業は、なかなか手間隙のかかることではありますが
この業界にいる身としては、めったに携わることのできない貴重な仕事のひとつだと、宮島での仕事を通して感じました。

岩国の錦帯橋周辺は重要文化的景観ということなので、建物に対する規制や制限などは、伝統的建造物群保存地区ほど厳しいものではないと聞いています。

岩国に住む私の友人は、大学時代の卒業設計の際、ここ岩国を舞台にお風呂屋を点在させる計画を考えました。
その作品展示をするために、岩国の町家のスペースを交渉してお借りし、私もお手伝いしながら一緒にやったね~という
懐かしい昔話をしながら当時の思い出を語り合いました。

錦帯橋は、定期的に架け替え工事が行われており、大工技術の継承という素晴らしい文化が地域の建物を通じて残っています。
一方で、住民の入れ替わりが進むにつれて、また錦帯橋から距離が離れるにつれて、その歴史性や文化的価値というものが薄くなっています。
重要文化的景観の定義を思うと、これまで景観をつくってきた暮らしと現代の暮らしとの間にある背景の違いをどう理解し
落とし所を探っていくか、そういったことを居住者や設計者や市の担当者などが協議しながら前進させていくことが重要なのではと感じています。

素敵な歴史や文化のある場所で、私たちエヌテックも何らかの工事等で携わることができればなぁと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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